ソウルRC事情取材メモ

■取材概要
2001年1月19日(金)〜20日(土)の2日間
天候:曇り時々雨&雪 気温0度近辺
  
現地アテンド:team MUCH-MOREの社員(R&D部門でレースドライバーでもある)のチャン・チーヒュン
さんに全面的にアテンドしてもらった。インタビューの多くは彼からのもの。
RC歴は10年以上で、現在の職場の前はRC関連の問屋で働く。経験豊富で業界に詳しい。
昨年の谷田部世界戦にも出場。日本語堪能。24才既婚。

■韓国のRC(カー)事情について  インタビュー チャンさん
RCカーを扱うショップは、全国で約500店で、約300店はソウル及びその近郊に集中。
EPとGPの比率は、感覚的なものだが6:4ほどとのこと。
人気のカテゴリはやはりEPツーリングで、日本のレギュレーションにあわせてストッククラスは23T
が主流である。

日本メーカーのものが人気があり、タミヤ、ヨコモ、HPI、京商などよく売れている(シェアなどはおおむね
日本と同じようなものか?)
但し、エントリー向けに値段が安いアカデミー製のシャーシが、シェアは一番高いのではないか?とのこと
だった。
アカデミーはプラモデルメーカーとしては世界的に有名だが、RCに本格的に力を入れ始めたのは、つい
最近でSTR4からという。(但しRCモデルはかなり古くから生産している)

■アカデミーについて
(今回アカデミー社員にはインタビューはとれなかった)

ツーリング主力のSTR4だが、日本に輸入されているものの他、韓国ではいろいろバリエーションがあり
キットのもの、ラリータイプ、PRO、PROスポートバージョン、RTRなど。
現在2人いるワークス(サポートドライバー&)がレース実践投入中だが、良い成績をおさめているとのこと。
尚、アカデミー本社には、ワークスドライバーはいないとのこと。
 

・ワークスドライバー リー・ジュンウー さん(team MUCH-MORE)のSTR4

開発検討中のモータ逆回転バージョン

反トルクによるステアへの影響を軽減するために、逆回転仕様にしたもの。
モータ、及びリヤデフ、センターワンウエイが逆仕様。
フロントステアリングポスト部分に改造個所あり。

モータをフロントに載せたバージョン

主に重量バランスの検討を行ったとのことで、モータをフロントミッドに搭載し、センターシャフトが
2分割されたもの。パーツ等はすべて手作りのワンオフ仕様。

尚、上記2車はいずれも発売の予定は無く、team MUCU-MOREにてアイデアを出して検討している
ものだそうだ。

・もう一人のワークスドライバー
 この方もリーさんと言う。
コンピュータ(PC)関連のお仕事をしながら、RC活動を続けているそうです。
 

 彼のマシン。
 
 

・アカデミーのSP3(車種は韓国の国民車 大宇Matiz)
 

シャーシはなんと、ダイレクトドライブ(トゥエルブライク)

エントリー用に価格を抑えるためか、プラスチックシャーシに、機械式スピコン、380モータ、ストレートパックという仕様だが、
OPによってカーボンシャーシなどの本格的なトゥエルブ仕様に換装することも可能。

・アカデミーの2WDバギー GRIFIN

アソシのB2あたりに酷似しているような・・・

■韓国のレースについて インタビュー チャンさん
規模の大きなレースとしては
HPIチャレンジ、タミヤグランプリ、KMRCA(日本のJMRCAの韓国版)、京商、アカデミー
といったところ。
HPIチャレンジは、昨年6回開催され、吉岡選手も訪韓している。team MUCH-MOREがかなりの勝率で
勝っている。
KMRCAのレースではリー・ジュンウーさんがSTR4で優勝したことあり。
タミヤグランプリは韓国でも人気で、日本と同じようなレギュレーションでイコールコンディションの元、戦われている。
昨年はアジアンカップがソウルで開かれ、アジアの各国予選を勝ち抜いた猛者が静岡行きの切符を賭けて戦った。
アカデミー主催のレースは昨年、初めて1回だけ開催された。STR4やMatizのワンメイクも企画され多くの人が
集まったという。

上記のようなメーカーサポートのレースの場合は100名以上が集まる盛況ぶり。
またローカルレースでも60−70人が集まる事も珍しくないそうである。

尚、変わったレースとしてはRCの問屋さん(KABSANホビー、後述)が主催するレースで、レース成績による
ポイントに、KABSANホビー扱いのパーツ使用によるボーナスポイントが加算されるレギュレーションがあるとか。

韓国のレースでは、上位入賞時に賞金が出ることも多いという。ビッグレースでは優勝に5万円程度の時も!
ただし、それによって目の色が変わるということではなく、優勝して賞金を手にした人も、その賞金で仲間と飲んで
騒いで終ってしまうのが韓国流とか。宵越しのあぶく銭は持たない主義??

■韓国のサーキットについて
ソウル近郊にオンロードサーキットは3箇所あり、いずれも屋外。
そのため冬の寒さが厳しいソウルにあって冬のラジコンは辛いものとなるそうだ。
屋内コースの計画もあり、今年の夏〜秋完成を目指しているとのこと。

ソウル中心部から一番近くの RAP TURN サーキット (キョンギドン地区)
 
当日は残念ながら残雪で走行は不可。

駐車場ビルの屋上にあり、雰囲気は渋谷トップサーキットに良く似ている。
走行料金は一日約1000円。駐車場料金は無料。
ソウル市街から近いこともあり、休日はソウルのRCフリークで混雑する。

1周約150mの中速コースで、コーナーの内側のRがしっかりとってあるのと縁石にテーパー処理が
してあり、クルマに優しそうだった。

サーキット壁面には、イカしたイラストが!

お立ち台下のピットスペース

アカデミーワークスドライバーに、持参したSTR4をチェックしてもらう

地元常連のクルマ
  
いずれも最新シャーシ(TC3ととTCR)にニッケル水素バッテリー搭載
 
 

■韓国のRC問屋について

ヤンジェードン地区に、扱いメーカー別に問屋が密集している。
全般的に、日本メーカーの最新シャーシや部品は揃っており、日本の最新シーンとタイムラグなく
流通しているように見うけられた。

・KABSANホビー

TEL 02-529-5155
社長 チョンさん
主な扱いベンダー:ヨコモ、ロッシ、ピコー、KO、ハイテック

  

韓国製ESC
  

韓国製でオーストラリアのベンダーにOEM供給している2WDツーリングカー(来月発売予定)
  
オーストラリアMODEL ENGINES社  フォードTICKFORD

・韓国模型

TEL 02-529-2333 社長 キムさん
主な扱いベンダー:京商

  

珍しいブガッティのスケールモデル

この他、京商のハングオンレーサーもまだまだ現役といった感じだった

ミニッツレーサーは輸入されていなかった。プロポが同梱されており認可の問題が難しいそうだが・・・
 

・TSD

02-3461-1852
日本語できる方がいる。
主な扱いベンダー:HPI、フタバ、ヒロボー、OS、シューマッカー、パワーズジャパン、シミズ、オリオン、エコー


日本でおなじみのパーツや定番タイヤなども揃っていた。
 

・アカデミー科学

TEL 02-575-9997
社長 李さん
アカデミー専門

 STR4PRO山積み!

   

ラジコン類もさることながら、プラモデルの品揃えと充実度は凄い。

■韓国のRC雑誌について

RCカーを扱う定期刊行物としては
・RC JOURNAL(クルマ専門)
・無線模型(空もの半分)
の2誌が月刊誌として刊行されている。

RCWなどと同じく、最新シャーシ紹介、セッティング情報やTIPS、サーキット情報等々充実している。
 

■韓国のショップ探訪

・アートテック

art tech  TEL 02-3216-3793
社長 KIM JI WOO さん
プラモデルやラジコンを扱う小さなショップだが、目玉はなんと言っても、イラストレータ出身の社長が自ら塗るアートペインティング
ボディである。

まさにアートの世界
大量のバックオーダーを抱え、社長は忙しい!

   
左は、チャンさんが今年使うボディだそうです。
ペイントのべ時間は約30時間!

  
 右写真のライトは、デカールではなく、全てペイントというから驚き

社長のボディペイント歴は2年半だそうで、イラスト雑誌や漫画、写真、時には全く関連の無い素材などから
アイデアをひらめいてデザインしているとのこと。
尚、社長は殆どRCをやっていないそうだ(暇がないとか)

・DONAM モデル
ドンナンドン地区にあるRCカー専門ショップ。
TEL 02-925-1400 社長 ムンさん

店内中央に置かれた巨大液晶プロジェクタディスプレイ
これで、リアルレース(RCシミュレータ)を楽しむ
    
このほか、キットを作ったり、仲間と話したり、ショップでの交流や楽しいひとときを大事にしている。
夜遅くまで営業しており(この日も12時近くまで営業)、ソウルのRCフリークが夜な夜な集まる
楽しい空間となっているようだった。
 

■韓国のRCベンダー

今回は、案内をしてくれたチャンさんが勤務する、team MUCH-MOREに訪問した。
MUCH-MOREはテレコム関連ベンダーであるWistechの一部門であり、親会社の主要業務とは関連がない。
現在の社長がRCに理解を示し、やっているとのこと。1999年創設。
RC関連エキップメントの開発生産及び、レース参加。

MUCH-MOREの研究開発部門

031-903-5908 (FAXは末尾が9)  チャンさんは日本語可能
much@much-more.co.kr
http://www.much-more.co.kr
総勢22名で、研究開発部門は4名。
チャンさん、リーさんは世界戦レベルの韓国トップドライバー。

主要扱い品目は
マッチドバッテリー、ハンドワインドモータ、モータ用アクセサリ(ブラシ、スプリング、ヒートシンク)、放電器
セッティングボード、バッテリーバーなどなど
自社で開発生産するほか、日本やUSベンダーへのOEM供給(イーグル、ゼノン)や、逆に海外ベンダーから
OEM供給を受ける(イーグル、WAVE)事もあり、国際的に展開中である。


手前 リー・ジュンウーさん  (アカデミーサポートドライバー)
奥 チャン・チーヒュンさん (ヨコモからサポートを受ける。現在メインでやっているのはCE4)


パナソニックニッケル水素3000バッテリーを、独自にマッチド&ザップドしたバッテリー
韓国内で2000パック以上を販売した、非常にメジャーなものだそうです。
(日本製品よりも売れたとか)

 ハンドワインドモータ

 単セル放電器
 

  

測るんジャーも扱ってます。